奥橋水産(日生)
<ムサシブース:フレッシュダイレクト>
殻付き牡蠣
午前3時半。漁港を1隻の船が出港しました。1000馬力のエンジンを低くとどろかせて、静かな港を滑りだしていきます。
ここは岡山県日生町(備前市)、乗り組んでいるのはカキ漁師の奥橋建造さん。きょうは沖合にあるカキの養殖筏からの水揚げ作業の様子です。
15分の航行で、静かな島陰に浮かんでいる筏(いかだ)に到着します。はるか沖に見えるのは赤穂の街の明かり。世の中が眠り込んでいる時間に真っ暗な海面に浮かんでいるというのは、日常とかけ離れた感覚です。凪(なぎ)で海面は静かですが、見えない波に体を合わせるのが難しい。
大きなフックを使って筏に漁船を係留します。係留が終わったらすぐに奥橋さんが筏に乗り移りました。カキがびっしりと張り付いたロープ、その数800本がぶら下がっています。
ゴム長靴を履いた奥橋さんは不安定な筏の上にはいつくばり、カキの付いたロープを1本1本筏から外します。落としたら最後。ロープはカキごと真っ暗な海中に落ち込んでしまいます。このロープを船から伸びるクレーンの先に腕力だけをたよりにぶら下げ、10本ほどにまとまったら水揚げです。
クレーンがうなりを上げると、直径1メートルほどの束になった大迫力のカキが水柱とともに姿を現しました。カキに張り付いているホヤが、驚いてピューっと水を吹き出し、カニが走りまどいます。巻き上げるにつれてグラリと大きくかしぐ船。
ユラユラとつり上げられたカキの束。 「ドー!」 という音とともに一気に落とされ、甲板にはカキの山ができました。こうして水揚げ作業を続けること1時間強、船べりからあふれんばかりのカキを水揚げして、港に戻ります。